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法を守る者だけが法の尊重・保護も求めることのできる原則である

確かに法は基本的に誰に対しても平等であることが求められます。しかし、だからといって自分が不法行為をしてもなおその恩恵が受けられるというものでもないことに注意する必要があります。
これはクリーンハンズの原則と呼ばれるもので、法の意思を尊重しないものは法の保護を得ることが出来ないという考えに基づきます。
この原則は民法708条の不法原因給付の「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。」との条文の中に見受けられます。
もし、法に違反している内容の契約について相手方が履行しなかったとしても、法はその契約内容に対し一切関知しませんし、その人も守りません。愛人契約や高利貸しなどの公序良俗に反する契約の場合はこれにあたります。
同様のものとして民法1条2項に規定されている信義則もしくは信義誠実の原則といわれるものがあります。
民法1条2項は「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」と規定していますが、これはもし、信頼を裏切るような行為を相手方に対し片方がとった場合、相手方のみがそれを守らなければいけないのはおかしいという、相手方保護に基づいて規定されているものです。
このように法は法を守る者のみを助けるという性質があるので注意が必要です。

社会妥当性のある行為に違反しない行為であるかどうか

売買契約などの法律行為は、その契約に関わる双方の意思表示をもって成立とするものです。しかしながら、どのような内容であっても常に有効となるわけではありません。その法律行為が内容から見て有効であるかどうかを判断する基準の一つに「社会妥当性のある行為に違反しない行為であるかどうか」という基準があります。つまり、国家や社会などの一般的な秩序である「公の秩序」、または社会の一般的な道徳的観念や社会通念である「善良の風俗」に反するような内容の法律行為は無効となるのです。この「公の秩序」と「善良の風俗」を略して公序良俗と言います。無効となった法律行為に関しては、誰でも無効の主張ができ、まだ履行されていない時には履行請求が認められず、すでに履行されてしまった時には原則として不当利得と見なされ返還請求権が発生します。
「社会妥当性のある行為に違反する行為である」と見なされる行為には、大きく分けて4つの種類があります。1つ目は「人倫に反する行為」です。愛人契約や既婚者との婚約が相当します。2つ目は「正義の観念に反する行為」です。賭博行為などの犯罪行為が含まれるものを指します。3つ目は「個人の自由を極度に制限する行為」です。芸娼の妓稼働契約などがこれに当たります。4つ目は「暴利行為」です。例えば不相当な高利や過度の違約金を付したりすることが含まれます。だたし「何が違反する功になるか」に関しては時代の変化に応じて変化しますので、裁判所が個々の事例に関して判断をしています。

違法と判断する基準

各種法律行為に関しては常に適法な場合で成立することができ、違法となる内容を持っているものでは、一般的には適用される法律によって罰せられることになります。違法であると判断するためには、いくつもの基準が設けられています。その中には強行法規と呼ばれるものがあり、その内容では資格等を本来であれば必要としている行為であっても、無資格で法律行為を行った場合や、取引きなどを行う場面では許可を必要としている内容であっても無許可で行った場合、売買契約などを行う際に、法律の範囲を超えた状態で契約が結ばれた場合などが相当することになり、罰則規定がある内容もありますが、原則として無効とされています。効力法規に関する項目も用意されています。例えばいわゆる白タクと呼ばれる行為がありますが、行為自体は違法状態と言うことができますが、乗客に関しては取引が成立していると判断される内容を持っており、全てを無効としている内容ではない状態も存在しています。また、脱法行為という内容を持っているものもあります。この内容としては法律によって禁止されている内容であっても、別の手段によって、結果的に違法状態を作り出す目的を持っているものになり、その契約に関しては原則無効とされています。

有効と認める要件

契約というのは、いわば約束のようなものですから、基本的には契約をする当事者同士の合意が成立(意思の合致)していれば成立するものなのですが、それ以外にも、以下に挙げる4つの要件を満たさなければならない、とされています。
要件の一つ目は「内容の確定性」です。
これは契約の内容がどのようなものであるか、言い換えれば、何を履行しなければならないのかということが明確になっていなければ契約は成立しない、ということです。
要件の二つ目は「実現可能性」になります。
そもそもはじめから実現する可能性のない事項を内容とする合意は無効である、ということです。
要件の3つ目は「違法性」です。
法律は弱者の保護や公の秩序(社会共通の安全や利益)などの観点から、一定の行為を禁止していますが、これに反する内容を目的とするような契約も無効になります。
最後の要件は「社会妥当性」になります。
犯罪にかかわる行為、人倫に反する行為(婚姻秩序や性道徳に反する契約など)、取締規定に反する行為、射幸行為(いわゆる賭博など)などは社会的な妥当性に欠ける行為として民法の公序良俗違反となるので、これらのことを目的とするような契約も当然、無効になります。

私権を制限するもの

民法上では一般的な法律行為に関しては、各々が自由な行動をとることを原則として認めており、契約や他の法律行為に関しても制限されたり、国から干渉されることなく自由に行うことができるとされています。しかし、この内容では完全に自由意思に基づいた行動をとることができる内容を持っていることによって、時には不具合が発生してしまうことになります。その結果として最低限遵守しなければならない項目を設定しており、このことを私権の制限と呼ぶことになります。制限内容に関しては大きく分類すると3つに分けることができ、公共の福祉福祉に反することがないように配慮することが必要とされており、公序良俗に反する内容であれば一定の制限が課せられることになります。もう1つには信義則という項目があり、相手となる人物や法人を裏切ることなく誠実な行動をとることが必要とされています。事情が急に変わった場面や契約内容を破棄するような場面でも、慎重に行うことが必要とされています。最後に権利乱用の禁止の項目がありますが、この内容としては権利を持っている方が権利を掲げて一方的に限度を超えた主張などを行うことを禁止しているものになり、社会通念上常識の範囲で考慮されるべき課題になります。

私人の法律関係って?

私人間の法律関係は、その当事者間で自由に形成することができることとされています。
これが「私的自治の原則」といわれるものです。つまり、私人間の法律関係に対して国家が口を出さないようにすべきだという考え方です。
契約自由の原則とは、私人間の法律関係を形成するに際し、その内容や態様などを当事者間で自由に定めることができるとする考え方です。日本の民法においては、これを実現するために「契約の四大自由」が認められています。つまり、「相手方選択の自由」「契約方式の自由」「契約内容の自由」「契約締結の自由」です。
「相手方選択の自由」とは、契約の相手方を誰にするかということを、当事者が自由に決めることができるというもの。「契約方式の自由」とは、契約の成立には基本的に特定の様式が必要ないということ。契約書を作らず口約束程度の合意でも、当事者間には有効に契約が成立するとするものです。「契約内容の自由」とは、どのようなことを契約内容としても契約は成立するとするものです。「契約締結の自由」とは、契約を締結するかどうかは当事者の自由意思にまかせるというものです。
また、社会生活を行う上で、不当に法的責任を負わされることの内容にとの配慮から、過失責任の原則という考え方もあります。これは、ある不利益が発生した場合でも、それを生じさせた人間に過失がなければその責任を問われることがないとする考え方です。
しかし、これらの原則にも例外があります。たとえば、公序良俗に反するものであったり、何らかの社会的必要性からこの原則にも制限が加わることもあるのです。

解釈する基準と当事者の意思が不明確な場合

法律の規定とされている内容の中には、解釈する基準と当事者の意思が不明確な場合があります。具体的には不動産の売買などを行うような場面では、最初に支払うことが求められている手付金などが発生することがあります。この件に関しては当事者間でどのような取り扱いをするのかを明確に規定していない中で、トラブルなどが発生してしまった場面では、任意法規等の項目によって補充規定を適用することが行われています。その一方で強行法規と呼ばれているものがあります。分かりやすい例としては、遺産相続などを行う場面があり、この場合では明確に当事者間で取り決めが行われていないケースであっても法規制によって適用される部分があります。強制法規に反する内容の場合では、その全てが原則として無効とされてしまう内容を持っているために、注意が必要とされる部分になります。特に相続関連においては、個人的な見解を適用してしまった場合では、偏った判断が起きてしまうことが多く、公平性に関しても欠けてしまう部分が大きなものとされているために、自由な意志によって勝手に取り決めを行うことができないように配慮されている内容を持っていることになり、現代社会では必要不可欠なものとして定められています。

準法律行為と何が違うの?

一般的に法律行為に相当する内容としては、分かりやすい例としては契約を結ぶような場面があります。土地の売買を行う場面では、売り主が購入者と契約を結ぶことになり、法的効果として支払代金が発生することになります。このことに対して準法律行為という言葉があります。この内容に関しては意思の通知を行った場合でも、その結果として意思の内容をそのまま効果に表れることではなく、あくまで法律通りに定められた内容で効果が発生する性質を持っています。したがって、ごく一般的な会話の中でも自然的に発生している事柄になり、常に法律によって守られている内容で処理されることになります。実際に準法律行為の中に観念の通知という項目もあり、一般的には債務承認などが相当することになります。また、混同事実行為という項目も用意されており、この点に関しては先占や拾得、そして事務管理などといった一般的な人の意識とは直接的には一切の関係を持たない内容を持っていることになります。また、感情の表示なども該当する部分としても知られており、法律によって明確な規定を持った契約などではなく、自然的に発生しながらも法律の範囲内で行われる行為を指しているものと解釈することができます。

法律行為ってなに?

法律行為とは、法的権限の行使として、法律効果を発生させることを目的とする、個人による意思表示のことを言います。つまり、法律によって定められた手続きを行うことによってその法律の恩恵を受けること、わかりやすい例を挙げるなら物の売買などがそうです。そして法律行為は三つに分けることができます。
まず、単独行為です。これは個人が独立して単体で意思を表示する行為を言います。遺言、取り消し、解除といったものが挙げられます。相手や仲間が存在せずに一人で行うというわけです。
次に、契約です。こちらは、二人以上の意思が合致することによって初めて成立する法律行為です。これに前記した物の売買が含まれます。売買以外にも、贈与、交換、消費賃借、使用賃借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解などが典型的な契約として日本の民法では定められている。つまり、相手がいるわけです。
そして三つ目が、合同行為です。これは同じ方向を向いた複数の意思が集まることによって発生する法律行為です。主なものに社団法人の設立等があります。要するに、仲間がいるわけです。
法律効果を発生させる条件を単独行為(一人)、契約(相手がいる)、合同行為(仲間がいる)の三つの状態を束ねて法律行為をと呼ぶのです。